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きのうの夜は
第5章 天川村
私たちと同じように、困っている男性二人の旅行者と出会ったのだ。
吉村がその男性二人に話しかける。
「もしかして、天川村に行きます?」
「ええ、そうだけど、あなた達もそうなのかい?」
「はい、そうなんだけど、バスが無くて…」
そう言うと、吉村とその二人は何かを話し合っている様だった。
「じゃ、タクシー使って途中までいきましょうか?」
「そうですね、4人で割ればそんなに高くないと思うし…」
そんな吉村の話し合いで私たち4人は下市口からタクシーに乗り天川村の入り口まで行ったのだ。
かなりの時間を走ったと思う。
確かタクシー代はその当時10,000円くらいだったと思う。
吉村が私の分も支払ってくれた。
タクシーを降りると大きな『天ノ川(てんのかわ)』と言う名の川が流れていた。
天川村は紀伊半島の中央部に位置し、村の面積の4分の1が吉野熊野国立公園に指定されている。
近畿最高峰の八経ヶ岳をはじめとした名峰連なる大峯山脈を擁し、源流域のその一滴は渓谷を渡る清冽な清流となって、名瀑をはじめとした美しい自然景観を作り出している。
人々はいにしえから山岳や奥深い自然に対し畏敬の念を抱き守り続けてきた。
2004年にはユネスコ世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」として登録され、天川村はその主要な構成要素としての「大峯奥駈道」・霊場「吉野・大峯」の一部を擁し、おおよそ1300年前に役行者によって開かれた修験道発祥の地である霊峰大峯山(山上ヶ岳)には、今も多くの修験者が修行に訪れている。
天川村の入り口に着くと私たちは近くにある貸し自転車を訪ねた。
今夜泊る民宿は天河神社の真向かいにある“齋藤さん”と言う方が営んでいる民宿だった。