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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第1章 《序章》
「毎日、女房たちと浮かれ遊んでいるばかりじゃなくて、他に学ぶべきことはないの? 折角、紀伊先生という素晴らしいお方に学んでいながら、あなたは何もそれを活かそうとはなさらないのね」
少女が手厳しく言うと、少年は皮肉げに口の端を引き上げる。
「女だてらに小賢しい物言いばかりする。お前こそ、女だてらに難しい漢籍ばかり読みふけって、和歌の一つも詠まぬゆえ、余計に女らしうなれぬのだ、醜女め」
「何ですって」