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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第1章 《序章》
 少女は唇を噛みしめた。
 あまりといえば、あまりな物言いだ。
 これまで耐えに耐えていた我慢の限界を超えてしまった。
「本当のことを申して、何が悪い。お前は顔までか心まで醜い女だな」
 刹那、乾いた音が鳴った。
 ひとときの静寂。
 その時、一陣の風が相対する二人の間を駆け抜けた。心ない風に身を震わせ、細やかな白い花びらを一斉に散らせる花、それは雪柳であった。
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