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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第3章 弐の巻
「はっ、そなたが知ったような口をきくな。そなたに俺の気持ちの何が判るというのだ? 親に守られてぬくぬくと生きてきたそなたに、桐壺の心やあれを失った俺の気持が判るとでもいうのか?」
どこまでも冷酷な言葉が石のつぶてのように飛んでくる。
昔から―子どものときから、同じことの繰り返しであった。逢えば反発し合い、罵り合うだけの二人だ。どうやら、それは十一年を経て互いに大人になった今でも変わりはないらしい。