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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第3章 弐の巻
世の中には幾ら自分が理解しようと努力しても、絶対にその人のことを理解できない人がいるという。もしかしたら、自分とこの男もそんな類の人間同士なのかもしれない。顔を見れば、傷つけ合い、更に尖った言葉でその傷の上にまた傷をつけるようなことを言い合う。
「桐壺は早くに父親を亡くし、母親に女手一つで育てられた。内裏に出仕したのも十四のときのことだ。まだ子どもと言って良い歳でありながら、随分と大人びた眼をした娘だった」
「桐壺は早くに父親を亡くし、母親に女手一つで育てられた。内裏に出仕したのも十四のときのことだ。まだ子どもと言って良い歳でありながら、随分と大人びた眼をした娘だった」