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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第3章 弐の巻
 が、その中の誰一人として、これまで帝の御子を授かった女性はいなかった。そんな中で、一番最後に後宮に入った祐子だけが懐妊、しかも懐妊が判ったのは寝所に初めて召されてから三月(みつき)と経ぬ中であった。祐子があまたの妃たちの妬みと羨望の的になったであろうことは容易に想像がつくというものだ。
 だが、帝は肝心なことを忘れている。
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