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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第3章 弐の巻
それでも、愛してはいたが、そなたを想うようには愛せなかった。そなたは俺の心を熱くする。そなたを見れば、俺の心は燃え上がる。だが、祐子にそんな烈しい想いを感じたことはなかった」
公子は、夢中で首を振り続けた。
「嘘、嘘だわ。そんなの嘘よ」
眼の前の男が怖い、無性に怖くてたまらなかった。男の眼には異様な輝きを宿している。熱に浮かされたような口調で喋る男の瞳には狂気が潜んでいるようにも見えた。
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