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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第3章 弐の巻
「嘘ではない。俺は昔から、子どもの頃からそなたを好きだった、公子。そなたが俺の初恋の女だ」
「嘘ーッ!!」
 公子は思わず両手で耳を塞ぐ。
 聞きたくない。そんな言葉なんて、聞きたくない。公子がもしこの世で最も嫌いな―逢いたくない相手がいるとすれば、それがこの男だった。子どもの頃から、顔を見れば〝醜女〟だと公子を傷つけ、心を抉るようなことばかりしか言わなかった。そんな男に憎しみに近い感情すら抱いたこともあった。
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