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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第4章 参の巻
 公子はピクリと身を震わた。
「食事もしないで、いつまで泣いてばかりいるつもりだ?」
 公子は掛け衾(ふすま)を頭からすっぽりと被った。あんな男の顔なんて見たくない。
「姫、良い加減にしなさい。俺の言うことが聞こえないのか」
 それでも無視を決め込んでいると、ふいに身体が布団ごとフワリと浮いた。
「―?」
 公子は一瞬、何が起こったのか判らない。
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