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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第4章 参の巻

帝は嗤いながら、懐から懐紙に包んだ小さな包みを取り出した。
「姫の好物は干菓子だそうだな。その歳で甘い物に眼がないなんて、本当に子どもみたいな姫だ。俺の許にいれば、甘いものでも何でも好きなだけ食べさせてやるぞ? 夏には皇室でしか使えない氷室から切り出した氷を砕いて、甘葛(あまずら)の汁をかけて食べさせてやる。甘い物だけではない、欲しい物があれば、衣でも櫛でも紅でも、何でも取り寄せてやる」
「―そんな物、要りませんし、食べたくありません」
「姫の好物は干菓子だそうだな。その歳で甘い物に眼がないなんて、本当に子どもみたいな姫だ。俺の許にいれば、甘いものでも何でも好きなだけ食べさせてやるぞ? 夏には皇室でしか使えない氷室から切り出した氷を砕いて、甘葛(あまずら)の汁をかけて食べさせてやる。甘い物だけではない、欲しい物があれば、衣でも櫛でも紅でも、何でも取り寄せてやる」
「―そんな物、要りませんし、食べたくありません」

