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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第1章 《序章》
 どうして、こう上手くゆかないのだろう。もし、あの少女が自分にほんの少しでも良い、優しく微笑みかけてくれさえすれば。
 自分はもっと優しく、少女を怒らせないように、いかにも公達らしい優雅な物腰で相対することができるだろうに。
 いかにも知った風な顔で説教臭いことを言われることが癪に障り、つい言わなくても良いことまで言ってしまう。そのことが彼女を傷つけていることだけは、彼にも判っている。
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