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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第4章 参の巻
 帝の乳母がすわ何事かと慌てて庭に降りたところ、幼い帝がその場に蹲って泣いている。乳母が訊ねてみても、四歳の帝はただ泣きじゃくっているばかりで、何も応えない。
 その傍らで五つになった公子が所在なげに立ち尽くしていた。困り果てた乳母が公子の方にどうしたのかと訊ねた。
 公子は困った表情で乳母にポツリと呟いた。
―主上が突然、泣き出してしまわれたの。
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