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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第4章 参の巻
 どうやら、幼い公子には帝が突如として泣き出した理由が皆目見当もつかないようだった。
 乳母は何げなく視線を動かし、ヒッと小さな悲鳴を上げた。脚許に小さな虫が無惨に踏み潰された状態で転がっている。どうやら、毛虫のようであった。
 帝が小さな身体を震わせながら、乳母に抱きつく。怯えているのだろう、まるで瘧にかかったように身震いしている。
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