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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第4章 参の巻
―あの子は、おかしい。変わってる。あんな薄気味の悪い虫を可愛いっていうのだ。それで、私が踏み潰してやったら、怒るんだ。
 その傍で二人のやりとりを聞いていた公子がムッとした顔で言い返す。
―虫だって、ちゃんと生きているのに。いきなり踏み潰して殺してしまうだなんて、可哀想だわ。
 乳母は急いで事の成り行きを母后に伝えた。安子は幼い二人を傍に呼び寄せ、もう一度話を聞いてみたが、乳母の報告と内容はほぼ同じであった。
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