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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第2章 壱の巻
 降ろされたままの蔀戸を開けると、途端に春の風が吹き込んできた。公子は立ち上がり、簀子(すのこ)縁まで歩いてゆく。
 その生命の芽吹きの感じられる風を胸一杯に吸い込むと、心の中に淀んでいたものが一挙に洗い流されてゆくようだ。
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