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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第2章 壱の巻
公子はそのまま簀子縁から庭に降りると、春の光景に眼を奪われた。心まで温まるような陽差しを浴び、今を盛りと咲き誇っている花は雪柳である。公子はこの愛らしい花を見る度、冬に降る雪を思い出すのだった。長い枝がしなるほどにたわわに花をつけ、その先は地面に届きそうなほどになっている。
風が吹くと、その花を一杯につけた枝がまるで海の底の藻のように揺らめく。そして、その都度、細やかな花びらを雪のように地面に降らせるのだ。
風が吹くと、その花を一杯につけた枝がまるで海の底の藻のように揺らめく。そして、その都度、細やかな花びらを雪のように地面に降らせるのだ。