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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第5章 四の巻
 なまじ美しい男だけに、怒りに猛り狂う様は凄絶ささえ漂わせている。
「いや、いやーっ」
 公子は泣きながら廊下を走った。
「助けて、誰か、助けて」
 誰でも良いから、私を助けて。この男から私を奪って、連れて逃げて欲しい。
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