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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第2章 壱の巻
「ひ、姫さま。こ、これはっ」
―一体、何なのでございますか?
 相模はそう問おうとしたのだけれど、当の公子は、相模の気など知らずにのんびりと笑っている。
「見れば判るでしょ、毛虫よ」
「け、け、けっ、毛虫っ」
 相模は、まるで、どもりになってしまったように言葉がつかえて上手く出てこなかった。
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