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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第2章 壱の巻
 道遠がいなくなった後、公子は高坏に盛られた干菓子を所在なげに見つめていた。
 指先でつまんで口に放り込むと、ほんのりとした甘みがひろがってゆく。菊の形をしたこの干菓子が公子は幼い頃から大好きだった。
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