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溺れゆく調教の沼
第1章 ずっと抱えていた気持ち
美稀(29歳)は、今日も仕事から帰って食事とお風呂を終えたあとパソコンを開いた。スマホでは画面が小さいのと、何となく検索履歴が誰かに見られてしまうことがあるのではないかという不安もあり、夜はいつもパソコンで自分の時間を楽しんでいた。楽しむというよりは理想の画像や動画を求めて彷徨っていたといった方が正しいかも知れない。自分の性癖が普通ではないと理解していたからこそ、その欲望は胸の奥にしまい込んで彼とつきあってきた。普通のセックスに物足りなさを感じつつも、決して悟られないよう細心の注意を払いながら4年もの歳月をともにしてきた。けれどその彼が先月去って行った。「僕たちは、お互いに遠慮したまま結婚するべきではないと思う。」という言葉を残して・・・。
否定はできなかった。そうかも知れない。彼はもしかしたら私の性癖に気づいたのではないだろうか。それならいっそのことカミングアウトした方が!と思ったが、彼の話しぶりからそうではないことがわかった。だから、そのまま別れを承諾してしまった。
子どもの頃から、ドラマや本の中で縛らるシーンなどが出てくると説明しようのない興奮が沸き上がった。漠然と興奮を覚えるだけでそれが何なのかはわからなかった。16歳の時に、いつもの女性漫画を買いにコンビニに行ったのだがちがうものを買ってきてしまったと気づいたのは部屋に戻ってからだった。読んでみると、それはいつもの日常生活を描いたような漫画ではなくどれもセックスのシーンが盛り込まれている内容ばかりだった。おそらく主婦層をターゲットにしたものだろう。「何これ」と思いながら読んでいるうちに、ある作品のページで手が止まってしまった。そこには「君はこうされることが好きでたまらないんだよ」と言われながら、縛られ愛撫され感じていく女性が描かれていた。手首を括られ、股を開かれた状態で感じていく女性のページで脳にものすごい刺激が走った。すごい・・・
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