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ネコの運ぶ夢
第6章 お料理ネコ
〜The cat waiting for special dish〜

自慢じゃないが、俺は休日の過ごし方が下手だ。
特に趣味もないし、友人も多い方ではない。結婚していたときは、家族で出かけることもあったが、離婚してからというもの休日はいつもできない家事をする以外、ほぼ何もしていない。

音子が来てからは、炊事、洗濯、掃除と音子がこなしてくれているので、休日は本当に何もすることがない。なので、大抵、寝坊する。

ぴぴぴぴ・・・9時45分に目覚ましがセットされている。
なぜ45分かというと、10時になると一桁位が上がり、なんだか罪悪感があるから、というだけの理由である。

これでは音子が不満かもしれない、と最初は心配したが、彼女はとにかく俺にひっついていられれば満足なようで、朝が遅かろうが、出かける先が特になかろうが、文句を言うことはなかった。

いつもなら、食事当番が先に起きて朝食を作るが、休みの日はふたりとも同じ時間に起きるようになっていた。特に急がないからだ。

ちなみに今日の朝食は音子が作る番だった。俺の横で、音子もくわっと伸びをする。

「おはようございまふ・・・市ノ瀬さん」
「ああ、おはよう」

そのままとてとてと洗面所に行き、顔を洗う。俺は特にやることがないので、黙ってそれを見ていた。今更ながら、自分の家に自分以外の誰かが動いていることに不思議な感覚を覚える。
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