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ネコの運ぶ夢
第8章 ネコは残業を待てない
〜The cat that can’t wait〜

俺のいる部署は大体ひまだ。ひま、というと語弊があるが、そんなに残業をするような部署ではない。
時間内に仕事は片付く。

ところが、年に数回はどうしてもその日中に処理しなければいけない案件というのが発生することがあり、そんなときは、一応この部署の責任者である俺は事が済むまで職場にはりつけになってしまう。

今日、その年に数回の事象が起こった。

「課長、総務課からの連絡ですが・・・」
部下の朝霞くんが手際よく報告書をまとめてくれた。
ことが勃発したのが定時間際だったので、残業は必至だった。部署は20人を抱えているが、事案に関係している5人と、俺は処理のために残る必要がある。

「済まない朝霞くん、大内と木下にも聞き取った内容をまとめておくように言っておいてくれ」

疲れる。この分だと、上に報告を上げられるのは、あと1時間というところか?その後、相手方に連絡して、事後処理をして・・・。

しばらく帰れないな、こりゃ。

「課長、ネコちゃんは大丈夫ですか?餌とか」
音子?ああ、猫。そういや朝霞くんに猫を飼ってる的なことを言ってしまった気がする。
いや大丈夫だろ。
「うちのネコは大丈夫だと思う」
まあ、本物の猫ってわけじゃないし、夕飯も自分で作れるしな。

その返答を受けて、ふふ・・・と朝霞くんが笑みをこぼす。

「でも、猫ちゃんは、飼い主の帰りが遅いと拗ねるそうですよ?イカ耳になったりして」
拗ねる・・・。ありえる。

連絡しておくか・・・。
そこまで思ったのだが、よく考えたら連絡手段がない。うちには固定電話がない。一人暮らしで電話を敷く必要がなかったからだ。全部スマホで済んでしまう。

待てよ。これ、帰りが10時くらいになったら・・・音子はどうするんだ?
どうしよう・・・。
ここにきて初めて焦りだす。
電報か?いや、そんな馬鹿な。

「課長?どうされましたか?」
顔色が悪くなったのか、朝霞くんが心配そうに声をかけてくる。
「いや、なんでも・・・」
言いながらも俺は落ち着かなかった。
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