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ネコの運ぶ夢
第10章 海辺のネコ
☆☆☆
午後の時間もあちこち鎌倉をドライブした。江ノ島にも足を伸ばす。サーファーがうようよいる。さすがに江ノ島は人が多い。
苦労して駐車場を探し、江ノ島に入ってみる。考えてみれば、ここに入ったのは初めてだ。
「市ノ瀬さん!神社ありますよ!あ!エスカレーター乗れるみたいです」
これが有名な江の島エスカーか・・・。
見るだけ見て、乗るのはやめた。混んでいたからだ。
江島神社でお参りし、ぶらっと歩いているだけで、日が傾いてきた。
最後に音子が、もう一度海を見たい、というので七里ヶ浜に行くことにした。
太陽がだいぶ傾き、もう夕日と言ってもいい。まだまだ波に乗り足りないサーファー少し見えるが、だいぶ人ははけてきている。そもそもここも遊泳禁止らしい。
海風が音子の帽子を煽るので、そっと手で押さえなければならなかった。
「音子・・・その・・・・一枚、写真を撮っていいか?」
思えば、最初の青空の下の音子も、あじさい寺で睡蓮をバックに佇む音子も、江島神社で熱心に祈っている音子も、みんなみんな写真に収めておけばよかった。
でも、その時はそこまで思えなかった。
「いいですよ」
音子が微笑む。俺は、少しアングルを考えて、一枚、写真を撮った。ギリギリ逆光にならず、音子の笑顔が撮れた。
スマホのメモリに、大切な一枚が保存できた。
「夕日がとてもきれいです」
本当はここで肩でも抱いてやれば恋人然とするんだろうけど、そういうわけにはいくまい。なんせ、お父さんと娘ほどの年が離れている。
一歩後ろに立って一緒に眺めるくらいがちょうどいい。
でも、こうして眺めている時、なぜだか分からない、説明できないが、音子が夕日の光に溶けてしまいそうで、そのまま消えてしまうんじゃないかと思ってしまった。
あまりにも非現実的な光景だったからかも知れない。それほど、音子は風景に溶け込み、美しかった。
午後の時間もあちこち鎌倉をドライブした。江ノ島にも足を伸ばす。サーファーがうようよいる。さすがに江ノ島は人が多い。
苦労して駐車場を探し、江ノ島に入ってみる。考えてみれば、ここに入ったのは初めてだ。
「市ノ瀬さん!神社ありますよ!あ!エスカレーター乗れるみたいです」
これが有名な江の島エスカーか・・・。
見るだけ見て、乗るのはやめた。混んでいたからだ。
江島神社でお参りし、ぶらっと歩いているだけで、日が傾いてきた。
最後に音子が、もう一度海を見たい、というので七里ヶ浜に行くことにした。
太陽がだいぶ傾き、もう夕日と言ってもいい。まだまだ波に乗り足りないサーファー少し見えるが、だいぶ人ははけてきている。そもそもここも遊泳禁止らしい。
海風が音子の帽子を煽るので、そっと手で押さえなければならなかった。
「音子・・・その・・・・一枚、写真を撮っていいか?」
思えば、最初の青空の下の音子も、あじさい寺で睡蓮をバックに佇む音子も、江島神社で熱心に祈っている音子も、みんなみんな写真に収めておけばよかった。
でも、その時はそこまで思えなかった。
「いいですよ」
音子が微笑む。俺は、少しアングルを考えて、一枚、写真を撮った。ギリギリ逆光にならず、音子の笑顔が撮れた。
スマホのメモリに、大切な一枚が保存できた。
「夕日がとてもきれいです」
本当はここで肩でも抱いてやれば恋人然とするんだろうけど、そういうわけにはいくまい。なんせ、お父さんと娘ほどの年が離れている。
一歩後ろに立って一緒に眺めるくらいがちょうどいい。
でも、こうして眺めている時、なぜだか分からない、説明できないが、音子が夕日の光に溶けてしまいそうで、そのまま消えてしまうんじゃないかと思ってしまった。
あまりにも非現実的な光景だったからかも知れない。それほど、音子は風景に溶け込み、美しかった。