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ネコの運ぶ夢
第14章 ネコの秘密
こんな私でしたが、中条の家の者は「家のために」私を利用しようとしました。出自はともかく、中条の家の人間だということには変わらないので、政略結婚に使おうとしたのです。
大学を卒業するのと同時に、厄介払いも兼ねて、とある若い代議士と結婚することがほぼ決まっていました。ところが、去年の12月、相手方の要求で行った婚前の健康診断で、私が完全な不妊症であることがわかったのです。
これがみっつ目の理由です。
さしもの京介も、これを隠したまま結婚させるわけにはいかないと判断したようで、くだんの代議士との話は破談になりました。念のため言っておくと、相手や私のためを考えたわけではなく、黙って婚約を進めて、後々自らに不利益に働くことを恐れたのです。
そのとき、京介は私を見下ろして吐き捨てるように言いました。
「本当に、なんの役にも立たない」と。
程なくして、些細なきっかけで私は中条の家を追い出されました。京介としては家訓に則った、ということだったのでしょう。
大学を卒業するのと同時に、厄介払いも兼ねて、とある若い代議士と結婚することがほぼ決まっていました。ところが、去年の12月、相手方の要求で行った婚前の健康診断で、私が完全な不妊症であることがわかったのです。
これがみっつ目の理由です。
さしもの京介も、これを隠したまま結婚させるわけにはいかないと判断したようで、くだんの代議士との話は破談になりました。念のため言っておくと、相手や私のためを考えたわけではなく、黙って婚約を進めて、後々自らに不利益に働くことを恐れたのです。
そのとき、京介は私を見下ろして吐き捨てるように言いました。
「本当に、なんの役にも立たない」と。
程なくして、些細なきっかけで私は中条の家を追い出されました。京介としては家訓に則った、ということだったのでしょう。