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ネコの運ぶ夢
第15章 ネコの運ぶ夢
〜The cat in front of the house again〜
【1年後】
また、暑い季節がやってきた。年を追うごとに地球は沸騰していく。このままだと、東京も乾季と雨季の2つの季節になる日も近そうだ。
5月も末。もうすでに夏のような暑い日が続いている。こんなに暑いと、あの日のことを思い出してしまう。
あの日々のこと。
音子がいた。家に帰ると明かりがついていて、一緒に御飯を食べてくれた。
何気ない話ができて、冗談を言って、笑って、同じ布団で寝た。
どこに出かけようかと話し、傍らに寄り添って歩いてくれた。
もう、二度と戻らない日々。お前は「キラキラした宝物」と言ったが、俺にとってもあの日々は何ものにもかえがたいものだった。幸せすぎて夢のようだった。
お前が、音子が運んできてくれた、とびきりの夢。できれば、覚めないでほしかった。
あれから俺はがむしゃらに働いていた。朝霞くんには体調を心配されることも多々あった。だが、そうでもしないと、心のなかにぽっかり空いた穴に落ち込んでしまいそうになる。
家に、帰りたくないのだ。
誰もいない空虚を、できれば見たくないと思ってしまっている。
今日もまた、帰宅が遅くなった。もう、時間は深夜0時に近い。街に白銀の街灯が灯っている。帰りたくないといってもいつかは帰らなければならない。暗い道はなおさら俺の足取りを重くする。
いつもの帰り道。最後の角を曲がる。
【1年後】
また、暑い季節がやってきた。年を追うごとに地球は沸騰していく。このままだと、東京も乾季と雨季の2つの季節になる日も近そうだ。
5月も末。もうすでに夏のような暑い日が続いている。こんなに暑いと、あの日のことを思い出してしまう。
あの日々のこと。
音子がいた。家に帰ると明かりがついていて、一緒に御飯を食べてくれた。
何気ない話ができて、冗談を言って、笑って、同じ布団で寝た。
どこに出かけようかと話し、傍らに寄り添って歩いてくれた。
もう、二度と戻らない日々。お前は「キラキラした宝物」と言ったが、俺にとってもあの日々は何ものにもかえがたいものだった。幸せすぎて夢のようだった。
お前が、音子が運んできてくれた、とびきりの夢。できれば、覚めないでほしかった。
あれから俺はがむしゃらに働いていた。朝霞くんには体調を心配されることも多々あった。だが、そうでもしないと、心のなかにぽっかり空いた穴に落ち込んでしまいそうになる。
家に、帰りたくないのだ。
誰もいない空虚を、できれば見たくないと思ってしまっている。
今日もまた、帰宅が遅くなった。もう、時間は深夜0時に近い。街に白銀の街灯が灯っている。帰りたくないといってもいつかは帰らなければならない。暗い道はなおさら俺の足取りを重くする。
いつもの帰り道。最後の角を曲がる。