この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
ネコの運ぶ夢
第15章 ネコの運ぶ夢
家の前のブロック塀に、膝を抱えるように座る影があった。
しばし立ち止まり、その影を凝視する。目を見開いた。

眠っているような髪の長い女性。白銀灯の明かりが頬を白く照らす。少し長いまつげが呼吸に合わせて動いていようだ。

まさか・・・。俺はそこに駆け寄った。
白銀灯の下にうずくまる影。

ああ・・・。俺は歩みを緩める。

座る女性の傍らに立ち、声をかけた。

「具合が悪いんですか?大丈夫ですか?」

少し息が切れて、声がかすれる。その声で、女性は顔を起こした。
次は確か、こうだ。

「大丈夫ですか?」
「ふにゃ?」
顔を上げ、俺を見上げた女性は、妙な声を上げると、ニッコリと微笑んだ。

「具合が悪いのですか?救急車を呼びますか?」
「音子は・・・・捨てネコ・・・いや、捨てられネコです・・・。」
「音子はお腹が空いてます
 できれば、親子丼を頂きたいです」

俺は吹き出した。
音子も吹き出した。
二人でクスクス笑い合った。

「台本と違うぞ」
「そうでしたか?」

「次のセリフは、俺だぞ。『ちょっとまっててくださいね、今、お巡りさんを呼んできますから』じゃなかったか?」
「そうでした、そして、音子は『お腹が空いてます』と市ノ瀬さんの服を掴んだんでした。」

俺が手を差し伸べると、音子はその手を取って立ち上がった。自然と引き合い、抱きしめあった。

柔らかいぬくもり。思わず抱きしめる腕に力が入る。

「ただいま、市ノ瀬さん」
上ずったような声で音子が言った。

「おかえり・・・音子」
声をつまらせて、俺は応えた。
/93ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ