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ネコの運ぶ夢
第15章 ネコの運ぶ夢
家の前のブロック塀に、膝を抱えるように座る影があった。
しばし立ち止まり、その影を凝視する。目を見開いた。
眠っているような髪の長い女性。白銀灯の明かりが頬を白く照らす。少し長いまつげが呼吸に合わせて動いていようだ。
まさか・・・。俺はそこに駆け寄った。
白銀灯の下にうずくまる影。
ああ・・・。俺は歩みを緩める。
座る女性の傍らに立ち、声をかけた。
「具合が悪いんですか?大丈夫ですか?」
少し息が切れて、声がかすれる。その声で、女性は顔を起こした。
次は確か、こうだ。
「大丈夫ですか?」
「ふにゃ?」
顔を上げ、俺を見上げた女性は、妙な声を上げると、ニッコリと微笑んだ。
「具合が悪いのですか?救急車を呼びますか?」
「音子は・・・・捨てネコ・・・いや、捨てられネコです・・・。」
「音子はお腹が空いてます
できれば、親子丼を頂きたいです」
俺は吹き出した。
音子も吹き出した。
二人でクスクス笑い合った。
「台本と違うぞ」
「そうでしたか?」
「次のセリフは、俺だぞ。『ちょっとまっててくださいね、今、お巡りさんを呼んできますから』じゃなかったか?」
「そうでした、そして、音子は『お腹が空いてます』と市ノ瀬さんの服を掴んだんでした。」
俺が手を差し伸べると、音子はその手を取って立ち上がった。自然と引き合い、抱きしめあった。
柔らかいぬくもり。思わず抱きしめる腕に力が入る。
「ただいま、市ノ瀬さん」
上ずったような声で音子が言った。
「おかえり・・・音子」
声をつまらせて、俺は応えた。
しばし立ち止まり、その影を凝視する。目を見開いた。
眠っているような髪の長い女性。白銀灯の明かりが頬を白く照らす。少し長いまつげが呼吸に合わせて動いていようだ。
まさか・・・。俺はそこに駆け寄った。
白銀灯の下にうずくまる影。
ああ・・・。俺は歩みを緩める。
座る女性の傍らに立ち、声をかけた。
「具合が悪いんですか?大丈夫ですか?」
少し息が切れて、声がかすれる。その声で、女性は顔を起こした。
次は確か、こうだ。
「大丈夫ですか?」
「ふにゃ?」
顔を上げ、俺を見上げた女性は、妙な声を上げると、ニッコリと微笑んだ。
「具合が悪いのですか?救急車を呼びますか?」
「音子は・・・・捨てネコ・・・いや、捨てられネコです・・・。」
「音子はお腹が空いてます
できれば、親子丼を頂きたいです」
俺は吹き出した。
音子も吹き出した。
二人でクスクス笑い合った。
「台本と違うぞ」
「そうでしたか?」
「次のセリフは、俺だぞ。『ちょっとまっててくださいね、今、お巡りさんを呼んできますから』じゃなかったか?」
「そうでした、そして、音子は『お腹が空いてます』と市ノ瀬さんの服を掴んだんでした。」
俺が手を差し伸べると、音子はその手を取って立ち上がった。自然と引き合い、抱きしめあった。
柔らかいぬくもり。思わず抱きしめる腕に力が入る。
「ただいま、市ノ瀬さん」
上ずったような声で音子が言った。
「おかえり・・・音子」
声をつまらせて、俺は応えた。