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ふみふみ
第16章 離別
みるみるうちにマットレスは広がり大きくなった。
アタシたちはそれを物珍しそうにキャリーケースの中から見ていたのだ。
ベッドのセッティングが済むと、業者の人は帰って行った。
部屋は段ボールの荷物でいっぱいだった。
アタシとモモはキャリーケースからやっと出して貰えた。
「ビヨーン」と背伸びをして、部屋の中を探検した。
モモはちょっと怖がっている様に見えた。
アタシはもう3回目の引っ越しだったので慣れていた。
これからこの部屋で七海ちゃんとモモと3人で暮らしてゆくのだ。
アタシは七海ちゃんに幸せになって欲しかった。
この時、七海ちゃんはまだ31歳になったばかりだった。
まだまだ、新しい出会いがあるのだとアタシは思っていた。
アタシが言うのもなんだけど、七海ちゃんは実年齢には見えない。
実年齢よりも5歳は若く見える。
だから、アタシは心配していなかった。
七海ちゃんはちょっとおっとりしている所があるけれど、芯のしっかりした人だった。
アタシとモモは荷物の段ボールの上に上がりそこで眠ったりしていた。
七海ちゃんは仕事と引っ越しの片づけで忙しかった。
段ボールは暫くの間、放置されることになる。
でも、アタシとモモはその段ボールが大好きだった。
毎回、その段ボールで爪とぎなどをしていたのだ。
それに、段ボールに入るととても落ち着くのだった。
アタシたちの段ボール遊びは続いていった。