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トライ アゲイン
第9章 目覚めの時
真っ暗やみに廊下からの一筋の明かりが差し込んだ。
誰かが病室のスライドドアを開けて室内を窺っているのだとわかる。
人影がスッと病室に入り込んでのと同時にスライドドアを閉じたのか再び病室内は真っ暗やみに包まれた。
看護師の方だろうか?
ペンライト明かりを灯して、その人影は枕元に近づいてくる。
そして静かに脱衣して下着姿になった。
「だ、誰ですか?」
意を決して安祐美は声を出した。
すると、その人影が
「あ、そっか…君、目を覚ましたんだっけね」と
聞き覚えのある声を発した。
「驚かないで…僕だよ」
その人影がペンライトの明かりを胸元から自分の顔に向けて灯したものだからホラー映画並の不気味な顔が暗闇から浮かび上がって、違う意味で安祐美は悲鳴をあげそうになった。
「君が眠っているときは毎晩ここに来て添い寝をしてたんだよ。今晩もついいつもと同じようにここに来ちゃったよ」
そう言って医師は掛布とんを捲って「よいしょ」と
安祐美のベッドに添い寝を始めた。
「あ、あの…ご自身が何をなさっているのか理解してます?」
やんわりと非難したつもりだったが
医師はまったく意に介さなかった。
「いいじゃん、毎晩一緒に寝てたんだし
今じゃ君の温もりがないと眠れないんだよ」
肌と肌がふれあい、この現代で目覚めるまで
過去においてこの男とセックスをしていたんだわと
いやが上にも思い出してしまう。
「本当に毎晩、私と添い寝をしていただけ?」
目覚めないのをいいことに
体を触られたり、それこそエッチをされていたのではないかと疑ってしまう。