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トライ アゲイン
第9章 目覚めの時
もう少し休めと言われても
5日間も眠っていたらしいから眠気などありはしない。
考え事をすればするほど目が冴えてくる。
まあ、なんにせよ、明日にもう一度検査をして
どこにも異常がなければ退院だと、あの医師が言っていたっけ…
もちろん、こんな無機質な病室よりかは自宅の方がのんびり出来るだろうけど、家に戻れば例の男が母のパートナーだと居座っているのだろうから不安でしかなかった。
『お父さんもお父さんだわ!
あんなに夫婦仲がよかったのに不倫して私たちを捨てて出ていっちゃう?
これもみな、私が過去に行って歴史を変えちゃったから?』
自分で望んで過去を変えようとした訳じゃない!
それに、過去に行きたいと思ってもそんなに簡単に行けるもんじゃないじゃない!
理不尽なタイムトリップに
神さまという存在がこの世に存在していて
目の前に現れたのならおもいっきり頬をビンタしてやりたい気持ちだった。
そんなことを延々と考えているうちに
不意に部屋の灯りが消えた。
「消灯時間なので明かりを消させていただきますね」いつの間にか看護師が来ていて部屋の明かりのスイッチを押しながらそう言った。
静寂と暗闇に包まれた。
映画なら神さまが突然に現れて
「あなたが望んだ通りに過去を変えてあげましたよ」なんてバカバカしいセリフを言うんだわと
自棄になって安祐美は暗闇を睨みながら呟いた。