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トライ アゲイン
第2章 小向先輩
安祐美が真剣に悩んで仕事を続けようか辞めようかと相談しているのに、
「辞めたければどうぞ」と冷たく突き放されたものだから、安祐美は憤慨してお酒のピッチが上がる。
「小向さんって案外と冷たいんですね」
お酒の量がオーバーピッチになっているのは自分でもわかっていた。
でも、むしゃくしゃするものだから飲まずにはいられない。
「冷たい?そうかなあ…でも、君の人生なんだし、君が決めるのが一番だと思うよ
仮に僕が辞めるなんて言わないでもう少し頑張れと言ったところで余計に君を苦しめてしまうと思うんだよな」
酔いが回ってきて小向の声がやけにエコーがかかったように聞こえる。
でも、本当に彼の言う通りだと思った。
「また、就職活動か~…」
酔いがさらに激しくなってお店の天井がグルグル回り出した。
「女なら、いざとなれば風俗という手もあるじゃん、なんたって君は器量よしなんだからさ」
ふん!またまたそんなことを言って!
風俗や水商売の辛さなんてわかりもしないくせに!
「なんなら僕が君に素質があるか見極めてあげようか?」
「上等じゃない!見極めてもらおうじゃない!」
安祐美の記憶はそこで停止した。
目の前がブラックアウトしてテーブルに顔を突っ伏して爆睡し始めた。
どれぐらい眠ってしまったのだろうか。
安祐美の体内時計では、ほんの数分のような気がするのだが、気づけばクッションの良いベッドに寝かされていた。
「おっ!目が覚めたかい?
とりあえず水を飲んだ方がいいよ」
小向がペットボトルのキャップを開けて手渡してくれるのだが、どうにも上手く掴めない。
「ホントに困ったやつだなあ」
小向はペットボトルの水を口に含むと
安祐美を抱き起こして口移しで水を飲ませた。