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トライ アゲイン
第5章 安祐美、二度目の高校生活
入学式も滞りなく終了し、
新入生は各クラスの教室に集められた。
簡単なホームルームが開かれた後に解散となり、
校舎を出ると両親が待っていてくれて、何枚撮るのかとあきれるほど記念撮影をした。
「あの…よろしければシャッターを押しましょうか?」
父がカメラマン役をしていたので
家族揃っての記念写真が撮れずにいたのだが、
一人の男子生徒がシャッターを押しましょうと申し出てくれた。
その男子生徒の顔を見て、安祐美は思わず「あっ!」と声が出そうになった。
何を隠そう、その男子生徒こそが
過去の安祐美がバージンを捧げたテニス部の先輩である飛鳥理(あすかまこと)だったのだ。
「さ、もっと笑顔でお願いします」
これからの安祐美との関係を知らない飛鳥は
ごく普通の一般的な男子生徒だった。
『この人に私は抱かれるんだわ…』そう思うと
笑顔になどなれずに緊張して顔がひきつっていた。
写真を撮り終えてカメラを父に返しながら
「君、部活動を決めている?」と
安祐美に人懐っこい笑顔を見せながら安祐美に話しかけてきた。
「い、いえ…特に決めてはいないんですけど…」
そう言いながら、飛鳥がテニス部で
自分もテニス部に入部して初体験をするのだと
安祐美はドキドキしていた。
「そう、よかったら陸上部に入らないか?」
「陸上部?テニス部じゃなくて?」
「なんだ、テニスに興味があるのか…
でも、気が変わったら陸上部においでよ
待っているからさ」
どういうことよ?
先輩はテニス部じゃなかったの?
やはりこれは二度目の人生ではなくて
全く違う人生を歩き始めているのだと
安祐美は不安を感じた。