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トライ アゲイン
第5章 安祐美、二度目の高校生活
これは…ひょっとして同じ時間を繰り返すのではなく、もう一度だけ人生をやり直してみてはどうかという神の導きなのかもしれないと思った。
そう、あの時こうすれば良かったと悔やんだ事もあったけれど、それをやり直せる機会を得られたんだわ。
これは…奇跡なのよ!!
そんな風に安祐美は考えたが
実際は安祐美が辿ってきた時間と別の次元の時の流れのなかでもがいているのだと知る由もなかった。
入学式の入場のために体育館の外に整列させられると、安祐美の前の女子が急に振り向いて微笑みかけてきた。
「初めまして、私、安倍と言います
安倍真理亜です」
アベマリア?
キリスト教の絵画などに描かれるアベマリアと同じってこと?
多分、この子のご両親はウケ狙いで真理亜って名付けたのね。
それともご両親が敬虔なクリスチャンかしら?
吹き出したくなるのを我慢して
「飯島です。飯島安祐美と申します」と
精神年齢が25歳の安祐美は丁寧に挨拶を返した。
「そう、安祐美ちゃんね
ねえ、私たち友達になりましょうよ」
一組ならば見知った顔が多かったけれど
二組ともなるとほとんどが知らない生徒ばかりだったので、安祐美としても友人になろうというお誘いはありがたかった。