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トライ アゲイン
第6章 陸上部の飛鳥先輩
安祐美と真理亜は陸上部のメンバーから快く迎え入れてもらい、放課後はランニングで汗を流した。
陸上に関しては
この学校は強豪校ではなく
実にのんびりとした部活動だった。
顧問の教師は名前だけのようで
ほとんど練習をチェックしにグラウンドに現れないし、過去の安祐美が在籍していたテニス部とは雲泥の差であった。
『テニス部に比べて、なんて楽チンな部活動なのかしら』
まるで校庭をジョギングするような感じで
この日も心地よい汗をかいていた。
ふと、校庭の片隅のテニス部のコートに目がいってしまう。
一心不乱にラケットを素振りする部員たち。
どの部員も真剣な表情をしている。
『やっぱりテニス部が良かったなぁ…』
本当ならば、あの一団に混じって
安祐美もインターハイを目指すために必死になっていたかもしれない。
でも、テニス部だと飛鳥先輩との繋がりもなくて
肉体関係にならないから仕方ないわよね。
それにしても、こんなチンタラした部活動で
飛鳥先輩といい仲になれるのかしらと心配になってくる。
過去においてはテニス部で
何かにつけて飛鳥先輩は安祐美を口説こうと
ストーカーのように接近してくれたのに…
あれはそう、ちょうど高校二年生になったときの事だ。
あの日も今日のテニス部のように
安祐美は必死にラケットの素振りを繰り返していた。
「安祐美、お前さあ…
グリップが手に馴染んでいないんじゃないか?」
タオルで汗を拭きながら
飛鳥先輩は安祐美に声をかけてきた。
「そう見えます?
けっこう自分ではしっくりきていると思うんですけど」
「いや、もう少し太い方がいいと思うな
グリップテープ巻いてやろうか?」
「ありがとうございます
でも、私、テープを持ち合わせていないので…」
「じゃあ、帰りにうちに寄りなよ
僕の余っているテープを巻いてやるからさ」
そのときは何の疑いもなく
素直に飛鳥先輩の自宅の部屋に連れ込まれたのだった。