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12歳年下の彼のお誕生日の話
第9章 港斗君の誕生日

備瀬崎海岸の駐車場から
歩いてすぐの場所に
備瀬崎があって。
備瀬崎からは美しい海岸線と
エメラルドグリーンの海に
熱帯魚が泳いでいるのが見える。

この辺りもシュノーケリングで
人気のあるスポットになっていて。
浅い場所で波も穏やかで、
魚も沢山見られる事から。
他のスポットに比べて
お子様連れのファミリーに人気の場所だ。

透明度の高い海は、浜からでも
魚が泳いでいるのが見えるぐらいで。

『さ、備瀬のフクギ並木でも
まったりと散策しましょうよ…』

備瀬のフクギ並木と言えば、
沖縄のガイドブックには
必ず乗っている観光スポットだ。

美ら海水族館からほど近い
この備瀬地区は、集落を約2万本の
フクギの木が覆い茂っている。

フクギとは、熱帯性常緑高木の一種で
葉の密度が高いため、沖縄では
街路樹や防風林として
古くから活用されていたらしい。

ここまでのフクギが並木になっているのを
見る事が出来るのはこの備瀬地区のみで、
覆い茂っているフクギの葉が
強い日差しを遮っていて
暑い季節でも快適な散策を楽しめる。

今日は、観光を詰め込み過ぎないで
まったりチルく過ごしたいと言うのが
彼のご希望…の過ごし方だったので。

この…どこかノスタルジーな
この景色を眺めながらの散策も
徒歩でのコースを選んだのも
よりゆっくりと過ごすためなのかもしれない。

備瀬地区の入口に駐車場は幾つかあるが
車で備瀬を抜けた先の、備瀬崎の方に
車を駐めていた。大体、ガイドブックで
備瀬のフクギ並木の巡り方のマップは
向こう側の地区の入口から
スタートするコースが紹介されている。

覆い茂ったフクギの葉のお陰で
フクギ並木はずっと木陰が続いている。

『僕、沖縄…には
何度か来た事あるんですけど。
男数人のグループで…ここ来ようって
ならなかったんで、初めてなんですよ』

備瀬崎からスタートして、
車で通って来た道の1本内側の
車では通れない細い通路を歩く。
木陰がずっと続いていて、木漏れ日を
感じながらフクギ並木を歩く。

まるでここだけが…時間の流れが
他の場所と違うような。
不思議な感覚を…感じる…。



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