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添花の愉悦
第1章 添花の愉悦
環の体はいつも、わずかな刺激で発情してしまう。
体に触れなくても、声や、妄想だけでも達してしまいそうになることもある。環の体は異様に敏感で、一度そうなってしまった自分の体をなだめるのは至難の業だった。
思い切り大声で喘ぐような激しい快楽を体に与えない限り、この興奮は身をひそめてはくれない。
夫の敦史に電話をかけた。まだ仕事中なのか、数回呼び出し音が続いた後、敦史は電話を取った。
「仕事中ごめんね。麗奈と会ってきたよ。今帰り道」
「そうか、で、どうだった」
「うん。今日は麗奈ののろけ話に終始したよ。楽しかった」
「それはよかった」
麗奈と二人で会うと知ったとき、敦史は、麗奈が妻に何を言い出すつもりなのかと心配顔をして見せた。なにも麗奈が環に噛みつくはずもないのに、妻が生傷を負わされるのではないかと本気で思っている様子だった。
麗奈の浮気話は確かに、いい気持ちはしなかった。しかも麗奈は、浮気相手が高校時代に環が思いを寄せていた人と分かっていながら話したのだ。ショックではなかったと言えば嘘になる。
けど、結局は麗奈と涼成の間に起こったことであって、今の環には関係のない話だ。
環は電話の向こうの敦史に言った。
「まだ時間あるし、もういっかいお店開けるね」
「わかった。僕も遅くなりそうだから、夕飯はそれぞれ済ませようか」
「うん。大会までもうすぐだもんね。しっかり栄養とって、お仕事頑張ってね」
敦史は高校の国語の教師をしていて、書道部の顧問も受け持っている。近々書道大会が開かれるので、学校でその稽古が行われているのだ。
敦史は、教師としての評判は上々だが、見た目はこれと言った特徴もない、一度会っても翌日には忘れられていそうなタイプだ。自分がもし男だったら、こんな感じになるだろうな、と環は敦史を見て思うことがよくあった。似た者同士とは、自分たちのようなことを言うのだろう。
体に触れなくても、声や、妄想だけでも達してしまいそうになることもある。環の体は異様に敏感で、一度そうなってしまった自分の体をなだめるのは至難の業だった。
思い切り大声で喘ぐような激しい快楽を体に与えない限り、この興奮は身をひそめてはくれない。
夫の敦史に電話をかけた。まだ仕事中なのか、数回呼び出し音が続いた後、敦史は電話を取った。
「仕事中ごめんね。麗奈と会ってきたよ。今帰り道」
「そうか、で、どうだった」
「うん。今日は麗奈ののろけ話に終始したよ。楽しかった」
「それはよかった」
麗奈と二人で会うと知ったとき、敦史は、麗奈が妻に何を言い出すつもりなのかと心配顔をして見せた。なにも麗奈が環に噛みつくはずもないのに、妻が生傷を負わされるのではないかと本気で思っている様子だった。
麗奈の浮気話は確かに、いい気持ちはしなかった。しかも麗奈は、浮気相手が高校時代に環が思いを寄せていた人と分かっていながら話したのだ。ショックではなかったと言えば嘘になる。
けど、結局は麗奈と涼成の間に起こったことであって、今の環には関係のない話だ。
環は電話の向こうの敦史に言った。
「まだ時間あるし、もういっかいお店開けるね」
「わかった。僕も遅くなりそうだから、夕飯はそれぞれ済ませようか」
「うん。大会までもうすぐだもんね。しっかり栄養とって、お仕事頑張ってね」
敦史は高校の国語の教師をしていて、書道部の顧問も受け持っている。近々書道大会が開かれるので、学校でその稽古が行われているのだ。
敦史は、教師としての評判は上々だが、見た目はこれと言った特徴もない、一度会っても翌日には忘れられていそうなタイプだ。自分がもし男だったら、こんな感じになるだろうな、と環は敦史を見て思うことがよくあった。似た者同士とは、自分たちのようなことを言うのだろう。

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