この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
エリート妻色情飼育
第99章 第二部 変貌 第七章 涙
裕子入社3年目「社長室」
20●0年3月7日 PM 8:30
※※※※※※※※※※※※※※※
雨が降っている。
降りしきる雨が大きな窓に叩きつけ、網目のような模様を作っていた。
空調の効いた部屋は気温が保たれ、その温もりが窓ガラスを結露で曇らせている。
模様をなぞるように曇りを溶かしていく裕子の指が、静かに動いていた。
むず痒いもどかしさに手の平で大きく拭きとった。
暗いオフィス街を照らす灯りが裕子の顔を映し出す。
やつれたような表情が浮かび上がり、タメ息が漏れる。
その目には涙が溢れ出ようとしていた。
この頃、眠れない日々が続いている。
一人寝の寂しさもあったが、早苗との別れが近づいているせいもあった。
最初はキツイ印象があった早苗だったが、自分を後継者として教育しようという本気の想いが伝わって、今では実の姉のように慕っていた。
平凡な容姿と思っていたが、日々を過ごす内に大人の妖艶な魅力を感じるようになっていたのだ。
※※※※※※※※※※※※※※※
昨日のことだった。
『わたし・・本当はレズビアンなの・・・』
目を伏せ、打ち明けてくれた。
『へへ・・言っちゃった・・・』
舌を出す早苗が肩をすくめる。
『結婚するの・・カナダで・・・』
おずおずと語り出す言葉にジッと耳を傾けていた。
『彼女が故郷で暮らしたいって・・・』
見つめる大きな瞳が潤んでいた。
『お金は社長からは十分すぎるほど・・・
いただいているし・・・』
早苗の説明に裕子は合点がいった。
会社を裏から支えている地位を捨てて退職する訳を。
容姿だって人並み以上あるのに、社長に手をつけられなかった理由を。
『だから、私が退職する4月まで・・・
伊藤さんには全てを伝えておきたいの・・・』
ギュッと手を握る温もりに裕子の身体が熱くなる。
得体の知れない気持ちが沸き上がってくる。
『だから・・ね・・・?』
唇が近づいてくる。
『安藤・・さん・・・』
甘い香りに裕子の声が途切れていった。
※※※※※※※※※※※※※※※
そして今。
裕子の回想を打ち消すかのように。
社長室の扉が開いた。
20●0年3月7日 PM 8:30
※※※※※※※※※※※※※※※
雨が降っている。
降りしきる雨が大きな窓に叩きつけ、網目のような模様を作っていた。
空調の効いた部屋は気温が保たれ、その温もりが窓ガラスを結露で曇らせている。
模様をなぞるように曇りを溶かしていく裕子の指が、静かに動いていた。
むず痒いもどかしさに手の平で大きく拭きとった。
暗いオフィス街を照らす灯りが裕子の顔を映し出す。
やつれたような表情が浮かび上がり、タメ息が漏れる。
その目には涙が溢れ出ようとしていた。
この頃、眠れない日々が続いている。
一人寝の寂しさもあったが、早苗との別れが近づいているせいもあった。
最初はキツイ印象があった早苗だったが、自分を後継者として教育しようという本気の想いが伝わって、今では実の姉のように慕っていた。
平凡な容姿と思っていたが、日々を過ごす内に大人の妖艶な魅力を感じるようになっていたのだ。
※※※※※※※※※※※※※※※
昨日のことだった。
『わたし・・本当はレズビアンなの・・・』
目を伏せ、打ち明けてくれた。
『へへ・・言っちゃった・・・』
舌を出す早苗が肩をすくめる。
『結婚するの・・カナダで・・・』
おずおずと語り出す言葉にジッと耳を傾けていた。
『彼女が故郷で暮らしたいって・・・』
見つめる大きな瞳が潤んでいた。
『お金は社長からは十分すぎるほど・・・
いただいているし・・・』
早苗の説明に裕子は合点がいった。
会社を裏から支えている地位を捨てて退職する訳を。
容姿だって人並み以上あるのに、社長に手をつけられなかった理由を。
『だから、私が退職する4月まで・・・
伊藤さんには全てを伝えておきたいの・・・』
ギュッと手を握る温もりに裕子の身体が熱くなる。
得体の知れない気持ちが沸き上がってくる。
『だから・・ね・・・?』
唇が近づいてくる。
『安藤・・さん・・・』
甘い香りに裕子の声が途切れていった。
※※※※※※※※※※※※※※※
そして今。
裕子の回想を打ち消すかのように。
社長室の扉が開いた。