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エリート妻色情飼育
第15章 第十四章 恋
それに二人を紹介した手前、気を使う社長や専務が何かと便宜を図ってくれる。

「いいよ・・行ってこいよ、井上・・・」
新しいプロジェクトで忙しい時期にも、悟はデートの日は残業もさせずに早く退社させてくれた。

しかも悟達が接待で使う高級料亭やレストランを予約してもくれるのだ。
支払いをする時も、既に社長の幸造から連絡が入っていて済ませてあるという。

「ええんや、
あの子は大事な取引先の娘やさかいな」

恐縮して礼を言う井上に気さくな笑顔を零す社長に、井上は胸をジンとさせるのであった。

そんな二人であるから、互いに相手を労わり大切に恋を育んでいった。
楽しい時間はアッという間に過ぎ去り、三ヶ月を数える頃には街中を腕組みながら寄り添うまでなっていた。

見つめ合う瞳は言葉が無くても互いの想いを伝えていた。
コクンと頷く春香の艶やかな黒髪の香りを、愛おしそうに抱き寄せる井上であった。

※※※※※※※※※※※※※※※

眉を潜め苦しそうな春香の表情も、男にとっては嬉しい証であった。

帰り際に恥かしそうにシーツを気にする恋人を、井上は強く抱きしめて永遠の愛を誓うのであった。

そして愛する男からのプロポーズの言葉を、幸せそうに噛締める天使がいた。

※※※※※※※※※※※※※※※

「僕達、結婚します・・・」

晴れ晴れしく言う井上の隣で、頬を染めている春香が立っていた。

「ほうか・・良かったのぉー・・・」

幸造が嬉しそうに顔をクシャクシャにしている。
悟も普段する冷たい表情を崩して聞いていた。

「おめでとう、佐山さん・・・」
裕子の祝福の言葉に春香は目を潤ませた。

幸造と悟の計画は慎重に、そして着々と罠を広げていくのであった。


第二部 企み (完)
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