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“男と女”の小噺集
第1章  
第4話 『ママ』

彼女と歩いていたときだった。
急用を思い出した。
明日の取引先との接待の人数変更を店に伝えなきゃいけなかったんだ。
俺は彼女に「ごめん、ちょっと急用の電話するね」と言って、その場で携帯から会社でいつも使っている高級スナックのママに電話した。
「あ、ママ、ごめん、明日の話だけど、連れていくお客さん、3人から5人に増えたんだ、大丈夫かな? うん、そう、やっぱりママだね、ありがとう。ママのあの手料理もお願いね、あれ、俺、好きなんだ。うん、じゃ明日ね、ママ」
話し終わると、彼女は私を見つめ、首をゆっくり左右に振ると、何も言わず、あとずさりした。

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