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第1章 別れ

時は幕末。
お咲は東北の寒村、その村でもとりわけ貧しい農家の五人兄弟の末っ子として生まれた。
上には兄が三人、姉が一人。
兄たちは学校もろくろく行かず、おっ父と１日中畑に出て働いていた。
おっ母はお咲を産んだ後産後の肥立ちが悪く半年ほどで亡くなった。

東北は飢饉が続き、農家は常に食うや食わずの生活が続いていた。

赤ん坊のお咲を、懸命にかばって世話してくれた六つ上の姉お雪は、十歳になった春、お江戸に売られていった。

それから六年、ついにお咲も売られることに。