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unbalance
第7章 火種
手首を抜こうとしても、体勢のせいか、彼の力が強すぎるのか、びくともしない。
ああ男性なんだと今さらながら実感する。
さっきまで散々、男性の象徴を撫で回していたのに。
「……嫌?」
窺うような彼の声に、
「だって……」
そんな事実、相馬の前で言いたくないけれど……でも、あとでがっかりされるよりましかもしれない。
「ちっちゃいし……」
「お前の胸がちっちゃいのはもうバレてるよ」
「うっ……うっさっ」
いつものニヤニヤ顔に見下ろされて、私は顔を逸らす。
いつも通りの彼にほっとしながら。
状況はぜんぜんいつも通りじゃないのに。
「だったらやめたらいいじゃないっ」
「嫌ではないんだな?」
嫌、ではなかった。
けれど、それを口に出すのはあまりに恥ずかしすぎるし、負けを認めたようで悔しかった。
知らないから。
見てがっかりしても、知らないから!
私、ちゃんと先に言ったからね!