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幻影の胡蝶 〜桃源郷の寵妃達〜
第1章 胡蝶再び
「あんた馬鹿ぁ?ここで四天王の目に触れたかったら、【胡蝶】と【桔梗】の名前はタブーなんだよ。」

「……………。」




いきなり上から目線で、ドヤ顔でクソバイス貰ったわ…。

桃源郷では新参者の私と彼女、『舞鶴』は雑用の洗濯物を桃源郷に流れる唯一の川で洗濯していた。




海軍並みに階級制度が厳しい『ここ』は、入った瞬間に下っ端の仕事から与えられる。

これでどうやって、四天王の目に触れて、気に入られればいいのか…。

舞鶴の話では、殆どの人が会う事も叶わないので、そのまま転生を選ぶと言うのだ。





そんな舞鶴は、ここに200年も居るベテランだった。
ベテラン下っ端。

本人曰く、本気で四天王と恋をしようと言う訳では無く。

彼女は望んでその位置にいる様だ。





ここの人間模様が、彼女曰く『萌える』らしい。





「この前も桔梗様と朱雀様が仲良くお散歩されてる所を見られて、昇天しそうになったわぁ!」

「………………。」

すでに昇天してるだろう。

そう突っ込んでもたいして面白く無いので、冷ややかな目線を送るだけで我慢してやった。





「桔梗様の寵愛は揺るぎないだろうけど、青龍様から寵愛を1番受けている【歌姫】様もまた、憂を待った眼差しがそれはそれは美しくて…。」

うっとりと宙を見ながら顔を紅潮させてる姿はアレだ。

そうアレ。

やべぇイッちゃってる奴。





前世なら絶対近付いてないなぁと、胡蝶はジャブジャブ洗濯物を洗いながら舞鶴の話を聞いていた。





「桔梗様はともかく、なんで【胡蝶】の名前がタブーなのか分かる!?」

妄想が終わったのか、急にキリッとした顔で舞鶴が胡蝶を睨みながら言った。

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