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ポートレート – Portrait –
第6章 才能の協奏曲
真衣が音に酔って、首や肩を動かしているうちに、静かで美しい第2楽章は終わった。
CDは止まらず、そのまま再生し続ける。第3楽章は、オケが発する重低音で幕を開ける。そしてピアノが先程の第2楽章とは違い、早く力強く、ジャズピアノの演奏のように、1音ずつ強く叩く演奏で旋律を奏でていく。この力強い旋律が第3楽章の主題となる。
KENが真衣の様子を演奏しながら伺う。彼の予想どおり彼女に変化が現れた。第3楽章の主題旋律内のある音に、真衣が強く反応する。背中を少しのけ反らす程、何かに耐えていた。
————今のは何だったの…突然、背中に電流が走って、脳までビリビリとした気がした…。
その犯人とは、ピアノ鍵盤の中音から高音域に入った所に何個もある、黒い鍵盤の内1つだった。絶対音感の持ち主であるKENは、素人には「微妙に甲高いシャッター音」と表現される音を、鍵盤の音に置き換え、ある音に目をつけた。まさに今、KENが強く叩いて、音を出す黒い鍵盤だった。
CDは止まらず、そのまま再生し続ける。第3楽章は、オケが発する重低音で幕を開ける。そしてピアノが先程の第2楽章とは違い、早く力強く、ジャズピアノの演奏のように、1音ずつ強く叩く演奏で旋律を奏でていく。この力強い旋律が第3楽章の主題となる。
KENが真衣の様子を演奏しながら伺う。彼の予想どおり彼女に変化が現れた。第3楽章の主題旋律内のある音に、真衣が強く反応する。背中を少しのけ反らす程、何かに耐えていた。
————今のは何だったの…突然、背中に電流が走って、脳までビリビリとした気がした…。
その犯人とは、ピアノ鍵盤の中音から高音域に入った所に何個もある、黒い鍵盤の内1つだった。絶対音感の持ち主であるKENは、素人には「微妙に甲高いシャッター音」と表現される音を、鍵盤の音に置き換え、ある音に目をつけた。まさに今、KENが強く叩いて、音を出す黒い鍵盤だった。