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天狐あやかし秘譚
第84章 【第16話 GD】雲散鳥没(うんさんちょうぼつ)
☆☆☆
「日暮様、こちらは準備できました」
ガラス窓の向こうから、助手に指名した廣金くんが声をかけてくる。

さて、と・・・

ここは私の執務室兼研究室だ。部屋に戻った私は、早速、プラスチックの容器の中に入っている『薬』と向き合っていた。

まあ、経緯から危険はないとは思うが、念の為、白衣を着て、ゴム手袋をはめ、一応目にはゴーグル、N95マスク。部屋の換気はしっかりと。
また、万が一にもこの錠剤が呪的な作用を引き起こしても大丈夫なように、水公の簡易結界を部屋の四隅を基点に張っている。これで、何某かの呪的ハザードが起こっても、少なくともダイレクトに陰陽寮を汚染することはないはずである。

ついでに、ガラス窓の向こうには、不測の事態があった場合の連絡要員として廣金くんを配置してある。安全対策はバッチリ。準備は万端だった。

「はじめまーす!」

ピンセットで慎重にひとつ、錠剤をつまみ出す。
まずは『青』それから『黄色』

二枚の薬包紙の上にひとつずつ、置く。

形状を観察する。確かに、双方同じ大きさ。上から見ると直径1センチ弱の円形で、表面はツルンとしており、表裏とも、やや中央が膨らんだ形をしている。横から見ると丁度、紡錘型になるような感じだ。見た目の色合いは一様ではなく、青も黄色も、ぼつぼつとより色が濃いところがあるみたいだった。

裏表、確認してみるが、薬にあるようないわゆる識別記号のようなものはなかった。
さらに、部屋にある機器で呪力を測定してみるが、特段の反応はなかった。

これで成分がラムネなら、本当にただのラムネ、ということになる。

ううーん・・・どうしよう?

ちょっと違うアプローチをしてみることにした。
私は部屋の引き出しから一枚の符を取り出す。符には五芒星と、その下に猫の肉球のような形だね、とよく言われる小さい円が3つ、大きい円が1つで構成されている『梅紋』が描かれており、一番大きな円の中に『鬼』と記載されていた。

その符を手に、私は式神勧請の呪言を奏上する。

「鬼々夜叉神 太陰 生門 荒御魂来世」
符を頭の上に高く持ち上げ、そこからひらりと落とした。

「おいでませ!ニャンコ先生!」
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