この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
天狐あやかし秘譚
第97章 【第19話:地狐】温慈恵和(おんじけいか)
「だ・・・だって、ダリの恋人って・・・あの、碧音って人じゃなかったの?」

我ながら、ちょっと声が普段より一段階低くなっている気がした。
その剣幕に、ぽかんとしていた、佐那が目をパチクリさせて言った。

「はい、もちろんです!ダリ様と深い契りを交わしたのは後にも先にも、碧音殿のみ。だからこそわたくしは・・・」
「じゃあ、あんたはなんなのよ?」

一瞬、佐那が小首を傾げるが、ああ、と得心したかのような表情を見せる。

「なるほど!綾音様はわたくしがダリ様の側室か何かであると勘違いなさっておられるのですね!?ご心配召されるな。わたくしがダリ様とまぐわうのは愛ゆえではなく、修養の一環。妖力を補い強めるためでございまして、ふた心などつゆほどもございません!」

ねー?とダリに笑いかけるその笑顔・・・確かに邪気はない。ないのだけれども・・・私の女の直感が、そこに深い深い『愛情』を感じてしまう。

うう・・・なんなの・・・この胸の中がえぐられるような感覚・・・っ

「とにかく!ダリ様・・・朱音殿をお守りするためにも、早く昔のように佐那とまぐわいめされよ!さもなくば手遅れになりまする。」

言いながら佐那が着物の下紐を解こうとする。

「いや、待て、佐那・・・い、今は・・・」
「ちょっと、あんた!勝手なことを!」

そうだ、勝手だ。勝手なのだ。
勝手にうちに上がり込んできて、勝手にダリに抱きついて、勝手にキスをして、勝手に!!!

そう、私はここにきて明確に意識したのだ。
この小さな闖入者、地狐・佐那姫に・・・心から嫉妬しているということを。

カッと頭に血が上るような感触。
佐那をダリから引き離したいというものすごい欲求。

「は・・・離れなさいよ!」

こうして、ダリにしがみつき再びキスをしようとした佐那をひきはなすべく私が手を伸ばした私だったが、その喧騒の中、場違いにのんびりした声が聞こえてきた。

「あのお・・・」

ふわりと桔梗が私たちの真ん中に姿を現す。
そして、彼女は私たちに告げた。

「綿貫亭の外に、敵対的な意思を持った妖魅が・・・溢れかえっているんですけど・・・」
と。
/1394ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ