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天狐あやかし秘譚
第100章 死中求活(しちゅうきゅうかつ)
☆☆☆
母を追って、代々木公園に入った瞬間、私は体中をなにかぬるりとしたもので撫でられたかのような奇妙な感触を感じた。同時に、腹の中の佐那が悲鳴に似た声を上げた。

「ど、どうしたの!?」
母はまだ目の前の道を走っていっている。しかし、今の違和感と佐那の叫びを無視することもできなかった。

「綾音様・・・大変です。わたくしたちは皆、あやかしの結界に囚われました!」

え・・・?

そう思って、後ろを振り返る。たった今、ビュンビュンと車が走り抜ける公道を背にして公園に飛び込んだばかりだと言うのに、そこには道路は見えず、ずっとずっと森のような木立がくらい木立が続いているだけだった。耳を澄ませても何も聞こえない。鳥の声も車の音も、風のそよぐ音すら聞こえなかった。

空を見る。そこにはあって然るべきの星がなく、代わりにあるべきではない真っ赤に染まった奇妙な月が浮かんでいた。

・・・異界!

私は何度か異界に飲まれたことがある。その時の感覚と似ている。空が違う、大気の様子が違う、そして何より、注意するとわかる、この周囲に立ち込めるなんとも言えない嫌な気配。

高等なあやかしのみが作り出すことができるこの世ならざる世界・・・すなわち『異界』である。この異界に囚われると、異界の創造主が解除をするか、創造主を倒すしか抜け出す道がない・・・そう私も教わっていた。

「一体、何が?」

異界を作り出せるほどの高等なあやかしがいれば佐那やダリが気づきそうなものである。それが異界に侵入するまで気づかないなんて・・・。

「わかりませぬ・・・。まさか、朱音殿に惹きつけられた妖怪の類・・・?」
佐那の言葉に冷や汗がどっと出る。
もし、母に惹きつけられているならば、その妖怪は母を襲おうとしていることになる。

とにかく!母をまずは捕まえなくては!

私は更に足に力を込める。異界で見失ったら、もしかしたらもう二度と会えないかもしれない。そうしたら、妖怪に対する対抗手段を持たない母はあっという間に餌食になってしまいかねない。

「待って!お母さん!!止まって!!」
しかし、母の背中はドンドンと遠くなっていく。そして、そのままするりと木々の間に紛れ見えなくなってしまった。

嘘・・・!
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