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天狐あやかし秘譚
第102章 一気呵成(いっきかせい)
「ははははぁ・・・目の前でオレが、この女の腸(はらわた)を貪る様子を見るといい・・・人の腸は美味いのだ・・・湯気が立ってなあ・・・トロリと蕩けて、舌に絡みつく・・・女はいい、特に若い女はな・・・この女の母も美味だった・・・育って、育てて・・・美味くなるまで待ってたんだ・・・」

べろりと舌で涼華の頬を舐め上げた。

「こいつを食えばお前は叫ぶだろう?その声もいい・・・恐怖はなあ、人の子で言うところの『調味料』というやつだ。腸がもっと美味くなる・・・こいつの後は、そこの結界内の女を喰らおう。そして、最後にガタガタ震えるお前の腹を生きたまま掻っ捌いてやろうぞ」

こいつ、やっぱり!!
楽しんでいる・・・楽しむためだけに私たちを弄んでいたんだ!!

こ・・・このやろう!

佐那を見る。必死に身体を起こそうとしているようだが、もうその身体には力が残っていないようだった。ただそれでも必死に『朱音殿・・・綾音様・・・』とうわ言のようにつぶやき続けていた。

佐那は・・・佐那は、ずっとこんなふうに、母を、そして私を、私の兄弟たちを守ってくれていたんだ。誰の目にも映らないまま、感謝されることもなく、ずっと・・・。

ダリと別れたのは1000年以上前。それから、たったひとりで、私たちの家族を守り続けてくれていたんだ。

なんで、私はさっき、佐那のために男に抱かれてやれなかったのだろう?
なんで、佐那といっしょにだりとエッチをしてあげなかったんだろう?

佐那は、ただひたすらに母を、私を守ることを考えて言ってくれていただけなのに。そこに二心(ふたごころ)がないという彼女のセリフは、本当に心の底からのものだったというのに!

どうしよう・・・どうしよう・・・
このままじゃ、涼華さんが、母が・・・佐那が食われてしまう!

なにか、なにか方法はないか?
なにか・・・
ダリ、ダリだったらきっとこんなヤツ・・・

ダリ・・・?
そうか・・・もしかしたら・・・

その時、私の脳裏にひらめくものがあった。あれはそう、ホシガリ様との戦いの時・・・私はダリと・・・

私は息も絶え絶えに倒れている佐那を抱き起こした。私の予想が正しければ、多分、これでうまくいく・・・はずだ。

「佐那、聞いて・・・」
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