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天狐あやかし秘譚
第104章 【第20話 ヤンデレ】一途一心(いちずいっしん)
☆☆☆
「橋本さん・・・」

とある部屋に、ひとりの女がいた。
手には、橋本燈矢の写真

それは何度も、何度も取り出され、撫でられ、口づけをされ、抱きしめられたのだろう。紙質はまだ新しいものの、手垢にまみれ、紙片端はぼろぼろになりかけていた。

女は、その写真を両の手で大切そうに抱えこみ、印画紙に焼き付いた橋本の笑顔を、飽きることなく眺めていた。

「橋本さん・・・燈矢さん・・・燈矢さん・・・」

ブツブツと呟く。それはまるで呪言のような独特の旋律を刻んでいた。
何百回、何万回、呟かれたその名前。その言葉は、情念となって部屋の中にわだかまっていく。

「私が・・・だから、だから・・・」

震える手で女は橋本の写真をぎゅっと胸に掻き抱く。

「ねえ、お願い・・・好きなの、好きなの・・・私、好きなの・・・燈矢が、燈矢が、燈矢がぁ・・・」

はあ、はあ、はあ・・・

感極まったように女が顔を上げる。その視線の先、部屋の壁のみならず、天井に至るまで、ありとあらゆるところに引き伸ばされた橋本燈矢の写真が貼り付けてある。その中には明らかに盗撮をしたような画質が悪いものや画角が奇妙なものが混じっていた。

「こんなに、こんなにあなたのこと好きなのよぉ・・・好きなの、好きなの、好きなの・・・」

彼女の背後にはパソコンのディスプレイが煌々とした光を放っていた。そこには橋本のマンションの部屋の中の様子が四分割で映し出されている。パソコンの隣には、大型の無線機があり、今は音量を抑えているものの、どうやらそこからは橋本の家に設置された盗聴器の音声を拾っているようであった。

ふふふ
 ふふふふふ・・・

ぎゅううっとこと更に手元の写真を抱きしめて、女は笑った。その表情は恍惚としているようにも見えた。

「守る・・・守るわ・・・私が守るわ・・・。だから、だからね、あなたは私を見て・・・私だけを・・・」

ふふ・・・ふふふふふふふ・・・

LEDの光で溢れているはずの部屋なのに、そこには、なにか昏い闇がわだかまっているかのように湿った薄暗さが感じられた。
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