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天狐あやかし秘譚
第105章 依々恋々(いいれんれん)
ああ、そうだ・・・。あの事件の報告書、作ってたんだった。これも九条様との大事な大事な思い出だ。でも、そう思えば思うほど、終わってしまうのが惜しいのだ。これを書き終えたら、もう九条様と私のか細い縁は消えてしまう。私はまた、彼にとって『その他大勢の陰陽師のひとり』になってしまうんだ・・・。

そんなことは、もともと・・・なんだけどさ・・・。

ぱちぱちぱち・・・

私はいつもより数段遅いペースでタイピングを始める。
報告書・・・ちょうど、事後措置について昨日までに受けた連絡のまとめだ。

怪異と思われていた『黒咲紗倉』は、逮捕・勾留中も弁護士を通じて頻繁に橋本との接触を、求め続けた。

曰く『橋本さんが私を待っている』・・・だそうだ。

更には、何度も、何度も手を変え品を変え、橋本に手紙を送ろうとし、そのたびに警察に止められていた。何をそんなに伝えたいんだ、と思えば、内容は『あそこにいてはいけない』という一言だけだったというのだから、全く意味がわからない。橋本の方にもこの事実は伝えられたそうだが、彼もいたく気味悪がったという。

それにしても・・・。
止められない執念、と言ってしまえばそれまでだが、ある意味、あそこまで自分の気持ちに正直に動けるのはすごいと思う気持ちもある。

好きだってバレて、嫌われたらどうしようとか、
自分と九条様とではとても釣り合わないとか、
私は、そんなことばかり考えている。

要は自信がないのだ。九条様が自分を好きになってくれるとは思えないなんて思ってしまう私にとって、歪んでいるし、偏執的であるとは言え、紗倉が橋本に対して真っ直ぐにぶつけている感情は、ちょっとだけだけど、羨ましいと思えてしまったのだ。

考えてみれば、紗倉の行動の動機は『好きな人のことを深く知りたい』という、一心だったのだ。

ああ、そう言えば、変な女から守りたい・・・だっけ?そんな事も言っていたっけ?
それにしたって、『守りたい』という思いは純粋と言えば純粋だ。

それに引き換え、私は九条様に何一つ自分の気持ちを伝えることも出来ず、何ひとつ役に立てるアクションを起こせてもいない。やったことと言えば、盗聴器をひとつ、見つけただけ。
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