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天狐あやかし秘譚
第12章 鬼哭啾啾(きこくしゅうしゅう)

話を瀬良が引き継ぐ。
「実は、数日前、正確に言えば、狂骨とあなた方が遭遇したときから、調べさせてもらっていました。そちらは天狐様でらっしゃいますね?」
やっぱり知ってた。ダリは『天狐様』と言われたのが嬉しかったのか、若干目を細めている。尻尾がないと感情がわかりにくいが、あれは多分、ドヤ顔だ。
「それから、そちらのお嬢さんは・・・おそらく」
んんっ!私が咳払いをしたので、気を使ったのか、瀬良が言葉を引っ込める。
「ああ、そうでした。すいません。そして、そちらの少年は、芝三郎狸、でらっしゃいますね?」
「おお!拙者にそのような名が冠されておったか!芝右衛門狸のようで、カッコいいのお」
芝三郎はあからさまに嬉しそうにする。通り名があるというのは、有名ということなのだろう。
「あと、失礼ながら、綾音様の状況についてもお調べさせていただきました。現在、無職かつ住居も後数日で退去期限が来る・・・更に言えば、彼氏と思っていた方に多額の現金を貢いだ上、逃亡され、さらにさらに、前に就業していた会社からも賠償請求がありますね。保険でまかないきれない分もあったようで、現在、結構な借金も背負っていらっしゃる・・・」
やめて!そうなんだけど、そんなに客観的に畳み掛けるように言わないでよ・・・。
見ないようにしていた現実が一気に心に押し寄せてくる。
く・・・苦しい・・・。
「そこで!提案なんやけどな?」
土御門がぐいっと身体を前にせり出してくる。私は思わず身を引いてしまう。
「綾音はん、陰陽寮に、就職せーへん?」
・・・。仰ってることが、よくわかりませんが?
ボー然とする私を尻目に、清香ちゃんと芝三郎は美味しそうにケーキやお菓子を頬張り、ダリはおちょこの日本酒を味わっている。
もう一度言います。
「どういうこと・・・ですか?」
「実は、数日前、正確に言えば、狂骨とあなた方が遭遇したときから、調べさせてもらっていました。そちらは天狐様でらっしゃいますね?」
やっぱり知ってた。ダリは『天狐様』と言われたのが嬉しかったのか、若干目を細めている。尻尾がないと感情がわかりにくいが、あれは多分、ドヤ顔だ。
「それから、そちらのお嬢さんは・・・おそらく」
んんっ!私が咳払いをしたので、気を使ったのか、瀬良が言葉を引っ込める。
「ああ、そうでした。すいません。そして、そちらの少年は、芝三郎狸、でらっしゃいますね?」
「おお!拙者にそのような名が冠されておったか!芝右衛門狸のようで、カッコいいのお」
芝三郎はあからさまに嬉しそうにする。通り名があるというのは、有名ということなのだろう。
「あと、失礼ながら、綾音様の状況についてもお調べさせていただきました。現在、無職かつ住居も後数日で退去期限が来る・・・更に言えば、彼氏と思っていた方に多額の現金を貢いだ上、逃亡され、さらにさらに、前に就業していた会社からも賠償請求がありますね。保険でまかないきれない分もあったようで、現在、結構な借金も背負っていらっしゃる・・・」
やめて!そうなんだけど、そんなに客観的に畳み掛けるように言わないでよ・・・。
見ないようにしていた現実が一気に心に押し寄せてくる。
く・・・苦しい・・・。
「そこで!提案なんやけどな?」
土御門がぐいっと身体を前にせり出してくる。私は思わず身を引いてしまう。
「綾音はん、陰陽寮に、就職せーへん?」
・・・。仰ってることが、よくわかりませんが?
ボー然とする私を尻目に、清香ちゃんと芝三郎は美味しそうにケーキやお菓子を頬張り、ダリはおちょこの日本酒を味わっている。
もう一度言います。
「どういうこと・・・ですか?」

