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天狐あやかし秘譚
第2章 秋霜烈日(しゅうそうれつじつ)
「そ・・・そもそも、なんで私の前に?」
「主が願ったじゃろうて」

そこからのダリの話を要約するとこうだ。
ダリは、1000年以上前からこの地の妖怪の長として君臨していたという。その妖力は強大であり、ダリがいることでこの地の妖怪は皆大人しくしていた、というのだ。

ところが、ダリを調伏するためにやってきた旅の僧侶との戦いで妖力の大部分を失い、逃げた先があの神社。神社の御神木で一休みしようと眠って・・・

「誰かの大声が聞こえると思って出ていったら、お主が思い人を求めておる様子だったのでな。その願いを叶えたというわけじゃ」

「ええっと・・・その件なんですけど・・・。」
おずおずと私は申し出る。
「その・・・キャンセルってわけには」
「きゃんせる・・・とは?」
「いや、やめるというか・・・なしにするというか」
「何故じゃ?主は・・・我が嫌いか?」

ずいと息がかかるほど顔を近づけてくる。
やめて、やめて・・・ドキドキする。

顔が赤らむ。思わず目が泳いでしまう。

「そう悪しざまでもないようだがな。どれ・・・身体に聞くとしよう」

へ?

ふわりと抱き上げられると、あっという間にベッドに寝転されてしまった。
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